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悪夢のテスト勉強からの開放。
中間テストも終わり、澄空学園高校は既に文化祭の準備へと入っていた。
そんな秋の朝——
「はぁ……」
溜息を漏らしながら[塚本志雄]はドアを開ける。
そこには幼なじみの[遠峯りりす]が寝ていた。
あられもない格好で寝ぼけているりりすを、渋々起こす……が、その報酬は感謝の言葉ではなく、ローキックと罵声の言葉だった……。
神奈川県澄空市———
私立澄空学園に向かう通学路。秋は深まり、枯葉が道を彩っている。
いつもと変わらない風景。
幼馴染と歩く通学路。
「りりす……昔は可愛かったのになぁ」と、思い浮かべる志雄。
幼い頃は志雄の後から付いてくる感じだったりりす。
しかし、しばらく親の都合でこの土地を離れ、再び戻ってきたりりすは随分と我侭な性格になっていた。
面倒見の良い志雄は、文句を言いながらも下僕一号のような扱いに……。
クラスメイトたちにもそれは知れ渡っていて、「将来、いい奥さんになれるよ」などと言われる始末。
そして、そんなりりすの存在のせいもあって、これまで"彼女"など縁遠い存在であった。
その日、りりすに隣のクラスの[箱崎智紗]を紹介される。
先日までは『地味』な外見だった智紗は、大胆にイメージチェンジをしていた。
「今度の後夜祭……一緒に踊ってもらえませんか?」
後夜祭で一緒に踊る。それは、近年の澄空においては告白と同義だ。
戸惑う志雄。
複雑な表情を見せるりりす。
三人の時が、秋風に吹かれて動き出す———
第一回 [澄空]
神奈川県澄空市
芦鹿島鉄道芦鹿島線(通称“シカ電”)沿線にある街のひとつです。
古くからある住宅地と開発されつつある駅前地域と二つの顔を持ち、公園などの公共施設も充実。
衣食住には不自由しない暮らしやすい街といえるでしょう。
大きな買い物などは、シカ電で数駅の千羽谷に行く人が多いようです。
・商店街
駅前の商店街は整備され賑わっていますが、一歩路地に入ると昔ながらの商店が軒を並べており、落ち着いた雰囲気をかもし出しています。
近所にある澄空学園の生徒からしてみれば絶好の買い食い寄り道スポットで、放課後は学生で賑わいます。
[塚本志雄]と[遠峯りりす]の家は、この商店街の一角にあります。
・住宅地
澄空学園へと向かう住宅地は比較的古く趣のある家屋が多く存在し、散歩には絶好のロケーションです。
学校の始業前、夕方などは生徒が自転車で疾走するので、注意が必要。
また、ここ澄空には『澄空弁財天』と呼ばれる社があり、観光スポットとしても有名です。
この街を舞台に『メモリーズオフ6 〜T-wave〜』の物語は紡がれていきます。
第二回[澄空弁財天]
澄空駅より徒歩20分。趣のある住宅地を抜け、坂を上っていくと、歴史のある神社が見えてきます。
シカ電観光の定番スポット、近隣の人々の心のよりどころとなる『澄空弁財天』です。
その名のとおり、七福神の一人でもある「弁天様」を奉る社で、この水で洗ったお金を使うとご利益があるといわれています。
そのため岩屋の中には洗うためのザルや柄杓などがおいてあり、参拝者は自由にそれらを使いお金を洗うことができるようになっています。
なお、洗ったお金は早く使ったほうがご利益があるとのことなので、シカ電観光で使い切ってしまうのが吉かも?
また、この社の名前に『澄空』とあることから、この地名が古くからこの地で使われている事を物語っています。
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